ちょっと待った!あなたはいったい誰が好きなの

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私、彼氏いるって言ったよね?あなたも彼氏いるって言ってなかった?

私は高校生のころ、バイトしていた店で今も働いているアラサー独身女です。

ウチは母子家庭だから進学したいなんて母に申し訳なくて言えなかったし、学校にくる求人には魅力を感じません。

だから今後もこの店でバイトすればいいって思っていたけど、高校卒業と同時にオーナーが私を正社員として雇用してくれたのでした。そして2年前には私を店長にしてくれました。

正社員はバイトより給料いいし、福利厚生やボーナスだってあるのです。母が再婚して私も1人で生活しなければいけません。

また安定した生活を送れるのもオーナーのおかげだと本当に感謝しているのです。

最近は仕入れに同行させてもらったりし、仕事が楽しいと思える瞬間も増えて毎日が充実していました。

ウチの店は女性服とバック、靴それにアクセサリーなどを扱うセレクトショップです。オーナーのセンスのよさ、それに大人向けの落ち着いた品揃えが人気で5店舗展開していました。

その中の1つが店長を私が務めるこの店で主婦パート2人と回していたのでした。

ウチの店は売上もよくて前々からもう1人フルタイムの女の子をと話していました。

そんなある日、オーナーから紹介されたのは新しく働いてもらうことになった良子ちゃんです。

良子ちゃんは高校を卒業して上京したけど、都会の慌ただしさに合わず田舎に帰ってきたと話していました。まだ20歳で幼さの残る顔立ちできゃしゃな女性と言うより女の子と言ったほうがピッタリでしょう。

最初はちょっととっつきにくかった良子ちゃんだったけど、少しすると打ち解けてよくしゃべるようになりました。

接客業は初めてだったらしく、お客様とのやり取りは敬語もうまく使えなくて危なっかしかったけど若い女の子がいると店内が華やいでいいなと感じたのでした。

オーナーは親から引き継いだ2代目で育ちがいい男性になります。ものすごくカッコイイとは思わないけど、スーツがビシッと決まった洗練された大人って感じです。

良子ちゃんが「オーナーと仲いいっすね。付き合っていますか?」と聞いてきたのでした。

あぁ確かにオーナーと親しく話しているし、打ち合わせを兼ねてランチに行ったりするから勘違いされたかと思いました。

私は「オーナーと付き合ってないよ。ちゃんと彼氏いるから。」と答えたのです。

良子ちゃんはいまいち納得いかない顔をしていたものの、「私も彼氏いますよ。でもフリーターでいつもお金ないって言っている」と頬を膨らませたのでした。

その日は納涼会と良子ちゃんの歓迎会を兼ねた飲み会でオーナーと私と彼女、そしてパートの主婦の方2人と近くの居酒屋へ行きました。

まいった…

良子ちゃん酒癖が悪い。

オーナーにいきなり「好き!」とか言っているのです。

オーナーは苦笑いしながらなんとかしろと目くばせしてきました。

良子ちゃんに「明日も仕事だから帰ろう」と促しても「嫌!オーナーの部屋に行く!」と意気込んでいたのです。

私が一生懸命良子ちゃんをなだめているとオーナーは「俺帰るから。あとよろしく」とさっさと帰ってしまいました。

パートのお姉さまたちは気の毒そうに「大丈夫?」と声をかけてくれたけれど結局、「ごめんね、私たちも帰らないと…」と私たちを残して帰ってしまったのです。

良子ちゃんは隣町から電車通勤しており、もう終電は出てしまったと言います。そんな彼女をほったらかして帰れない私は自分の部屋に連れていったのでした。

部屋についても良子ちゃんは「オーナー、オーナー」と言い続け、電話番号を知らなかったらしくて「オーナーに掛けてください」と泣きそうな顔でお願いしてきました。

私はため息をつきながらオーナーに電話したのです。

予想はついていたけど、オーナーに迷惑がられて「俺、風呂入るから、あとよろしく」と切られてしまいました。

それ以上は何もできないと気づいた良子ちゃんは「疲れたから寝る」と言ってシャワーを浴び、貸してあげたパジャマに着替えてなぜか私のベッドで寝てしまったのでした。

仕方なく、私はその夜はソファーで寝ました。

翌日、店に出るのに昨日と同じ服は嫌と言って私のクローゼットから適当に選んだ良子ちゃんは「これ貸してください」と言うのです。仕方なくその服を貸し、2人で店に出勤しました。

店に出ると良子ちゃんはいきなり私を無視しだしたのです。

意味がわからない私は良子ちゃんに何でと尋ねました。

すると「やっぱり萌絵さん、オーナーと仲いい。やっぱり2人は怪しい」と言ってきたのでした。

うそぉ、ちょっと勘弁してよぉ。ここ職場よ?まして私たちはサービス業になります。そんな仏頂面でにらんできたら、雰囲気が悪いったりゃありゃしないじゃないの。それになんで付き合ってもない男のことで恨まれなきゃいけないの?と思ったものの、そんなことはお構いなしで良子ちゃんは翌日もまたその翌日もずっと私を無視し続けたのです。

あれ?これいじめ?私10歳も下の女の子にいじめられているの?

自慢じゃないけど、今までいじめにあったことないのにこの歳にして年下の女の子にいじめられるなんて…と情けありません。

それでも私は平静を装い、お店に立ち続けたのでした。

その後も良子ちゃんの機嫌が直ることはなく、接客もまともにしてくれない彼女を横目に私は頑張って売り上げを保っていました。

しばらくして私は付き合っていた彼氏と結婚することになって寿退社を申し出たのです。最初は結婚を理由に仕事を辞めるのもどうかと思ったものの、ちょうど彼が転勤になります。

そんな話をオーナーにすると「君が引っ越すあたりはまだウチの店舗がないし、大きな都市で出店するには都合がいいから新店舗をと考えている」と言ってきたのでした。

確かにそうすれば私も仕事を続けられます。

話し合いで私はひとまず辞めるけど、新店舗ができたらそこの店長として復帰することに決まったのです。

彼と引っ越して少しの間はゆっくりしていた一方、意外と早く新店舗が開店して私は店長としてまた働きだしました。

仕事中に前の店舗に用事があって電話した時にパートのお姉さまが話してくれたものの、私が辞めたあとで良子ちゃんは1か月しないうちに突然こなくなったのだそうです。彼女はなんとできちゃった結婚したと聞きます。

あれだけオーナーが好きと騒いだのに結局はフリーターの彼と結婚しちゃったってことでしょうか。

まあ私には関係ないけど、オーナーは今も独身貴族で良子ちゃんももう少し根性見せてほしかったと思います。